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橋本典久の世界
「虫めがね∞(と)地球儀」

橋本典久の世界「虫めがね∞(と)地球儀」

もし、自分の体が、トノサマバッタと同じ大きさで、突然に長く伸びる触覚と細長く折れ曲がった手脚をもつようになってしまったら…。羽音を立てて向かってくる、尖ったカブトムシの角をどんなに恐ろしく感じることだろう。あるいは、肩幅に沿うように折れ曲がった光る黄緑色の細長い脚の跳躍力に、我ながらほれぼれするかも知れない。そして、大きく広がった視界が、後方に構える敵の姿を察知出来る事に気付き、長く伸びた触覚が、草花の香りを存分に吸い込み、素晴らしく感度がよい…と驚くに違いない。
橋本典久さんの写真は、そんな想像力を存分に引き出してくれます。まずは、巨大な昆虫の写真に近づいて、じっくりとその姿を見てください。長く伸びた触覚、薄く透き通った羽、白い粉で覆われた胸腹、光る前羽の鮮やかさ…。それらのひとつひとつに目を奪われることでしょう。なぜ、こんなカタチ…?鮮やかすぎる色彩…。どうして…?はてな…?は科学の入口。なぜだろう…?という疑問が未来の科学者を生むかも知れません。

ほぼ人間大の巨大な超高解像度の昆虫写真を制作する橋本典久+scopeの皆さんは、そんな疑問を放っておかずに、少年さながらに虫網を持って、公園や原っぱに出かけ、昆虫を採集しています。捕まえた昆虫は、顕微鏡の替わりに家庭用のスキャナに乗せられ、生きたまま撮影されます。画面に現れた昆虫は、マクロレンズによる撮影とは比較にならない程の精彩さを放って彼らの目の前に現れ、その詳細な画像と鮮やかな色彩、精密な造形美には、目を見張らせられるそうです。そして、何よりその形態が、人間の目に美しく見えるためにデザインされたものなどではなく、自然淘汰を勝ち残っているという事実の物語る力強さを感じるのだそうです。

世界には驚くほどたくさんの目線=見え方があり、人間以外の生き物にもそれぞれの視線や世界があります。橋本典久さんは、そんな「視ること」への探求を続けながら、特別な昆虫だけではなく、身の回りにある風景や自然の事象にも虫めがねやレンズを向け、次々と解像度を上げていきます。対象は、昆虫だけでなく、個人の部屋から宇宙や星座まで無限大に広がります。今回はこの裏磐梯の周辺で捕まえた昆虫も撮影しました。どこに裏磐梯の昆虫がいるのか、ぜひ探してみてください。

展覧会を訪れる方々には、このような、肉眼では見れない解像度の高い写真をご覧いただくとともに、いつもと違うモノの見方や感じ方を体験してもらえればと思います。普段は目にとまらないような風景や生き物にも、多様な造形の不思議があります。また、普段見逃しがちな日常の風景の中に驚きや発見がたくさんあるのです。時には、ありきたりなでスタンダードな見方を捨てて、虫めがねを当てたり、地球儀をまわしたりして大胆に角度を変えてみると、モノの見え方は、360度、どの角度に合わせるかにより、多様で無限大に拡がるのです…。そんな自在なひと時を、ぜひ楽しんでいただけたらと思います。
(岡部三知代/ギャラリーエークワッド主任学芸員)

虫めがね∞(と)地球儀

左 life-size 右 Panorama Ball

虫めがね∞(と)地球儀

橋本典久 はしもとのりひさ
http://zeroworks.jp
1973 愛知県瀬戸市生まれ
1998 武蔵野美術大学映像学科卒業
2000 筑波大学大学院芸術研究科修了
現在武蔵野美術大学非常勤講師
明治大学総合数理学部非常勤講師

2003年「プライベート・パノラマ」(INAXギャラリー2)2006年「越後妻有アートトリエンナーレ」(「森の学校」 キョロロ)2011年「橋本典久の世界 虫めがねと地球儀」
(ギャラリーエークワッド)など展覧会多数。
文化庁メディア芸術祭平成15年度優秀賞、 16年度奨励賞受賞。球体写真「Panorama Ball」や、「超高解像度人間大昆虫写真[life-size]」など、見えていそうで見えていないものをシンプルで力強い視覚作品として制作している。

お問合せ先:裏磐梯高原ホテルフロントまで。TEL.0241-32-2211
〒969-2701福島県耶麻郡北塩原村大字桧原字湯平山1171

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